「学塔」No.92に戻る

図書館で資料を探すには

 レポート作成にしても日常のちょっとした疑問にしても、調べたいことがあって図書館に行ってみたが、どこにどんな資料が置いてあるのかわからなかったとか、調べ方がわからなかったのでうまくいかなかったということはなかったでしょうか。


◆◇◆図書の並べ方は◆◇◆
 附属図書館にある図書は1.学生図書 2.参考図書 3.書庫内図書に分けてあります。図書は内容を表す分類番号を付けて、その分類番号順に並べてあります。内容の似たものが集まるようになっているということは、何か調べるときは、調べたいことの分野を表す分類を知って、とりあえずその場所に行ってみることです。
国語辞典→813
英語辞典→833
百科辞典→03-
<世界大百科事典>R031
<Brockhaus Enzyklopadie>R034
 国語辞典や百科事典を見たら解決しそうなことなら、813(国語辞典)03-(百科事典)が並んでいるところへ行って調べることになります。
統計情報が必要なら35-(統計)のところです。
統計(全般)→35-
<日本統計年鑑>R351
<現代アメリカデータ総覧>R355.3
統計(分野別)
<ポケット農林水産統計>R610.59
 人名なら百科事典にも沢山載っているでしょうが、いきなり28-(伝記・人名辞典)のところへ行った方が良いかもしれません。
 辞典や事典の類は、参考図書のところに集めてありますが、学生図書の中にもあります。
 人名辞典にしても統計にしても限られた分野(主題)だけを扱っている資料も多く、一般的な事典や統計で良い情報が得られない場合はそれぞれの分野の所でも資料を探してみることです。
人名(一般)→28-
<世界伝記大事典>R280.3
<現代日本人名録>R281.03
<Allgemeine deutsche Biographie>
 R283.403
人名(分野別)
<Who's who in science in Europe>
 R403.5
<人間国宝事典>R709
<明治・大正・昭和作家研究大事典>
 R910.28


◆◇◆分類や件名を知るための資料◆◇◆
 図書館の本は分類して並べてあるというが、分類がわからないというときは、NDCという本を開いてみて下さい。この本の後ろに相関索引というものがあります。これで、調べる主題にあった言葉を探していきます。言葉がみつかれば分類番号もわかります。うまくいかないときは前の方に分類表の概略が10区分、100区分、1000区分の順にあります。それで、見当をつけて(あるいは、本表で更に詳しい分類を確かめてから)書架へ行ってみて下さい。
NDC<日本十進分類法>
R014.45
 (版が違うと分類が異なる
ところがある。附属図書館では
新訂6-A版(1951)を使用)
 NDCはカードボックスの上にも
置いてあります。
<国立国会図書館件名標目表>
 R014.35
 3版(1980)にはNDC:6版の
分類も載っている。

 もちろん、調べた分類のところに本が沢山あっても、役に立たないものばかりということもあります。こんな時、取り出した本をあたりの棚に積み上げたまま行ってしまう人がいますが、これは止めて下さい。(他の大勢の利用者が困ります)
 ここで見つからなくても、諦めるにはまだ早すぎます。図書は参考図書や学生図書だけではありません。書庫の図書も利用できます。


◆◇◆書庫の資料の利用は◆◇◆
 書庫は増築部分の1、2、3階にあり、1、2階は教官閲覧室ともなっています。一般に学部学生の場合は書庫へは入れません。こういう場合は、分類目録で調べて役にたちそうな本を出してきてもらうことになります。分類目録で探す場合は、書架へいって眺める場合と違ってより的確で詳しい分類を知っていた方が探しやすくなります。もちろん、こうした手続きを経て得た資料が役にたつかどうかは見るまでわかりません。こういう手続きを何度か繰り返すうちに、書庫へ入れたらもっと便利だと思うこともあるかもしれません。
 書庫のなかには木田文庫(法律)、椎野文庫(甲殻類)のように特定の主題の文献がまとまっているコーナーもあります。
 図書館で行なっているオリエンテーションには書庫へ入る資格が得られるコースもあります。


◆◇◆雑誌を調べるには◆◇◆
 附属図書館にある雑誌は、a.2階開架 b.集密書庫1階 c.集密書庫2階、その他に、量は少ないのですが、d.文庫の一部として書庫3階にもあります。
 雑誌は図書と違い、雑誌の名前の順にならんでいます。と言っても、その前にA:和雑誌、B1.洋雑誌に分け、和雑誌はさらに、A2.大学紀要、A3.官・A4.公庁、A5.その他の4つに分ける操作がしてあります。雑誌は主題別にまとまっていない。ということは、例えば歴史関係の資料を探しているとすると、歴史を扱う雑誌にはどんなものがあるかを知る必要があります。それぞれの雑誌をみて目的とする記事を探していくということも大切なことですが、雑誌の記事を探そうとする場合は別の方法もあります。
 和雑誌、洋雑誌とも誌名のアルファベット順に並んでいます。
 附属図書館での雑誌の排架は複雑です。あるはずなのに見つからないという時は職員に聞いて下さい。
 書架へ行って資料を探してみると、ほどなく図書や雑誌の記事の情報を集めて載せている資料があることに気付くはずです。図書館の人が「書誌」とか「二次資料」とか言っているものです。これを使えば、調べたいことについてどんな資料があるのかを知ることができます。これにも、幅広い分野を扱ったものや分野を限定したものがありますが、特定のテーマに沿った資料を探すのであれば分類や件名別に編集してあるものが便利です。また、大きな図書館(たとえば国立国会図書館)の蔵書目録には同じような機能を持ったものとして利用できるものがあります。このような資料のなかには膨大な量の雑誌の記事を索引化したものがあり、抄録といって雑誌記事の内容がわかるものが付いているものまであります。資料を集めたり調べたりするときには、こういった資料を上手に使うと効果的です。
分野別に雑誌を紹介している資料
<雑誌新聞総かたろぐ>R050
<Ulrich's international periodicals
 directory>R050.31
書誌・目録例(1)
 主題別に排列された図書目録(主題全般)
<出版年鑑>R025.1
<Verzeichnis lieferbarer Bucher:
Schlagwort - Verzeichnis>R025.34
<日本件名図書目録>R025.1
<国立国会図書館所蔵主題別図書目録>
 R029.1
雑誌記事の索引
<雑誌記事索引>R050.31
<科学技術文献速報>(和雑誌扱い)
<大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録>
 R027
<ASFA>(洋雑誌扱い)
<Biological Abstracts>(洋雑誌扱い)
<Chemical Abstracts>(洋雑誌扱い)


◆◇◆便利なオンライン検索◆◇◆

 昨今は商用のデータベースが多数あり、右欄に掲げた雑誌記事索引、科学技術文献速報、ASFA,Biological Abstracts,Chemical Abstracts もオンライン検索ができます。オンライン検索では資料を探すことは更に楽になりますが、有料のため、附属図書館では校費支払いに限って検索の代行をしています。学生の方は、オンライン検索よりは時間がかかりますが図書や雑誌の形態のものを利用して下さい。

便利だが高価。
私費による検索はできない。


◆◇◆無料オンライン検索◆◇◆
 一般にデータベース検索は有料で、料金もかなり高額となりますが、無料でできるオンライン検索がないわけではありません。
 三重大学では、学内LAN上で医学文献のデータベースMEDLINEが検索できるようになっています。これは、情報処理センター機の利用資格があれば利用可能です。
MEDLINE:医療文献データベース
 現在は利用に対する課金はされていない。
 また、最近よく耳にするインターネット上で利用できるUnCoverでは、雑誌記事の検索ができます。検索するだけなら無料で、図書館にあるインターネット用のパソコンからも接続できます。
UnCover
 database.carl.org へ TELNETで接続する。
 ”UnCoverで論文を探す”(インターネットで情報検索/戸田慎一ほか著.−日外アソシエーツ 1994.p.91-97)参照


◆◇◆CD−ROM検索◆◇◆
 このような資料のなかには、CD-R0M形態で刊行されているものもあり、附属図書館ではJ-BISCや雑誌記事索引が利用できます。
<CD-HIASK>(朝日新聞全文記事情報)
<J-BISK>
 主題から探す場合は、「件名」や「書名」の項に思いつく言葉をいれて検索します。また、分類(「NDC」や国立国会図書館の分類「NDL分類」)から検索してみる方法もあります。分類や件名を知るにはLOOK-UP機能を使ったり、分類表や件名標目表をみます。また、既に判っている資料を表示してどんな件名や分類がついているかを見てもよいでしょう。
<J-BISC>(国立国会図書館蔵書目録)
<雑誌記事索引>
主題から探す場合は「論題中の単語」の項に思いつく言葉をいれて検索します。「分類コード」を使う場合は、用語一覧機能で分類を見ることができます。
<雑誌記事索引>(ZSK)
CDでカバーできない部分は図書形態の累積版、雑誌形態の季刊版を利用する。(季刊版を刊行中止としCDの刊行頻度を高める計画がある。)
 ここに掲げたような二次資料を使えば図書館にない資料の情報も得ることができます。とても便利なものですが、調べ方によって結果が異なることや、それぞれの資料の収録範囲や収録の基準を確認することを忘れないで下さい。収録対象外のものはどんな調べ方をしても、そこからは見つけることはできません。こういう場合は別の資料で補えるかどうかということにも注意すべきです。
書誌・目録例(2)
<朝日新聞記事総覧>R027
<日本人物文献目録>R281.03
<統計情報インデックス>R350.3
<日本民俗学文献総目録>R381.1
<日本地質文献目録>R450.31
<植物・植物学の本全情報>R470.31
<環境問題情報辞典>R519.5
<日本東洋古美術文献目録>R703.8
<芥川龍之介書誌・序>R910.26
 こうして見つけた資料が必要なら、まず附属図書館にあるかどうか、目録カードやOPACで検索してみて下さい。
*この右側の欄にある資料は附属図書館にある資料の一部を例示したものです。
 これだけしか無いということではありませんが、近隣の公共図書館には附属図書館に無い資料がたくさんあることも忘れないでください。


「学塔」No.92に戻る