連載(4) Digital LIVE Contents-Infrastructure-Literacy

電子ジャーナル及び引用文献データベース“Web of Science”の導入から1年が経過しました。4月〜12月にかけて実施した利用講習会も、個人・研究室での参加により、多くの方に受講していただいています(86回開催、542名参加)。“Digital Live”連載第4弾は、研究・教育活動の中で、これらのサービスを積極的にご活用いただいている事例を、生物資源学部の吉岡基先生にご寄稿いただきました。

研究室で電子ジャーナルとWeb of Scienceの利用をはじめて

生物資源学部 吉岡 基

 オンライン文献検索システムのひとつ「Web of Science」の導入とファイル保存形式のひとつであるPDFファイルによる文献入手システム「電子ジャーナル」の導入促進が、三重大学でも着実に進みつつある。同時アクセス数の制限や自宅等学外からのアクセス制限、また入手できる文献の出版社には限界があって、完全電子化までにはまだ少し時間がかかるが、コピーカードをもって図書館に文献複写にいく、紙による文献入手から、デジタル媒体による文献入手にその方法は確実に移行しつつある。

 これらのシステム導入がすすむにあたり、その利用促進をはかるために、附属図書館では頻繁に講習会を開催してくださっている。研究室の学生諸氏にはまだこの新しいシステムの利用方法を知らない場合がかなりあるので(とくに学部学生)、私の研究室では、毎週行っている研究室ゼミナールの一環として、私たち教官も含めた全員で、一度この講習会を受講させていただいた。そのおかげで、当時いたメンバーはこの新しいシステムの存在を知るとともに、その基本的利用法を習得することができた。また、昨秋、新たに研究室に配属されてきた学部3年生には、これまた図書館にお願いして、3年生6名だけの講習会を開いてもらった。3年生も、もうこの便利なシステムを利用できるようになっている。私の研究室では、学部学生に対して、演習の一環として、毎月ひとつの論文を自分の興味のある分野から自分で探し、それを翻訳ないしは要約して提出する課題を課している。この課題をこなすために、両システムはかなり威力を発揮している。パソコンを扱い慣れている世代の彼ら、彼女らだから、講習会をうけるにも、またその後、システムを利用するにもほとんど抵抗はなかったように思う。研究室内では、今後、先輩から後輩へ、これらのシステム利用に関する教育指導もしてもらうように働きかけはしていくつもりであるが、図書館のスタッフの方にはご面倒をおかけするが、新人相手の講習会は、これらのシステム利用が定着するまで、今後しばらくは継続して行っていただければありがたい。講習会をうけて、知らない機能を知るなど、私自身が勉強になる点もいくつかあった。学内でまだ講習会を利用されていない研究室には受講をおすすめする。

 講習会の成果あってか、大学院生以上にあっては、もはやひとりでこのシステムをかなり使いこなしている。ルーズな私が、「この論文を図書館に頼んで入手しておいてもらえないか」と頼んでも、すぐに検索をして、印刷をしたPDFファイルをもってきてくれる。ただ、電子化されたジャーナルはまだここ数年以内に公表されたものが大半なので、過去にさかのぼって文献を得たい場合には、やはり図書館に複写にいくか、外部に複写依頼をしているし、その依存度はまだかなり高い。学生から出てくるもっとも多い改善希望はこの点にある。ただ、これはいずれ時間が解決してくれるだろう。また同じレベルの改善希望点として、アクセスできる出版社数にまだ限界があることである。その学生にとってはふつうにみている雑誌でも、それが電子化されていないとわかると、システムの利用頻度は下がり、そこから遠ざかってしまう。また、細かいことだが、Web of Scienceでは、処理を先に進めるとき、パソコンのキーボードの「enter」キーをヒットしただけでは、処理が先に進まず、逆に戻ってしまうなどのソフト上での使いにくさの意見もでてきた*。Web of Science, 電子ジャーナルとも、普及途上のシステムだと思われるので、ユーザーの意見なども吸収、反映させて、今後、さらに利用しやすい便利なシステムに改善されていってほしいと思う。

 (よしおか・もとい)

* 2003年8月、Web of Science の検索システムがバージョンアップし、パソコンのキーボードの「enter」キーをヒットすることで検索ができるようになりました。(2003/09/09 参考調査係補記)


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