No.101 1999.2.5![]() |
目次
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年がら年じゅう緑の衣をまとっていた白い貴公子がきらびらかな緑、赤、黄色の衣に着がえする時期。人々があわただしい師走を迎えるのは間近である。
画・文 丹羽 榮二(にわ えいじ)教授
人文学部 高橋 弘司
6年前の夏、当時大学院生であった筆者は、日課の「書庫あさり」に忙しかった。書庫にこもり、研究に必要な書籍や資料を見つけ出す、地味だが必須の作業である。
筆者の専門分野(労務管理論)の棚には多くの書籍があふれ――大半は洋書であったが――いつでも新しい必読文献を見出すことができた。限られた時間の中で必要な書籍を選び、目次に目を走らせ、必要なページに目星を付け、すばやく読み、コピーを取るという、甚だせっかちな方法で書籍に接していた。時間はなく、読むべき資料は多く、必然的にそのようなやり方を採らざるを得なかったのである。
このようなやり方には、ずっと違和感を持っていた。幼時より本に親しんでいたために、本を読むという行為は、一冊の本の全幅を丹念に読み通し、気に入れば再読三読することであった。一冊の本にかける時間は長く、必要に迫られてどうしても読まなければならない本はなかった。すなわち、筆者が狎れ親しんできたのは「楽しみとしての読書」であったと言えよう。
ところが、大学院に入るとたちまち、「研究のための読書」「職業としての読書」をしなければならない状況に追い込まれた。授業は基本的に英語文献・論文を熟読した上での議論が中心で、指定された課題を読みこなすことが最低条件であった。未消化の部分や曖昧な理解には容赦ない叱正が浴びせられる。必然的に参考資料も自分で見付けだし、目を通しておかなければならない。授業の準備に追われ、修士論文作成のプレッシャーも重くのしかかる毎日に疲れ果てていた。楽しみとしての読書の延長線上で、職業としての読書をしていたのである。
そして、6年前の夏、資料に目を通していると、中から紙切れが出てきた。古いメモ用紙で、記号や矢印が書いてあった。例えば、「Lynn
(1961)→Jackson & Miller (1969): !? (contradiction)」などと書いてあり、全体として矢印が連なり、図になっている。これは多分、Lynnの1961年の論文がJackson
& Millerの1969年の論文に影響を与えて、このメモを作った人はその流れは矛盾すると考えて、驚いたんだな、と思った。この人は集めた論文などを全部読んでみて、論旨や影響の方向性をこういう図にまとめたのか、参考になるな、とも思った。
そこでひらめくものがあった。このように論文の関連性を図に示すことは、単に個々の論文のロジックを整理するのに便利だからということのみならず、むしろ、頭の中で「見えないテキスト」を築き上げる作業を行うためではないか、と。我々が綴る論文は、その個人的な見えないものを社会的な目に見える形にしたものであり、それは知識の断片をつなぎあわせるのではなく、知識を糧として新たな知を自らの内に創造し、それを明らかにしていく営為ではないか、と。
そのときから、筆者の読み方は変わった。そして、なぜ大学図書館がこれほど多くの書籍や資料を所蔵しなければならないのかが実感として理解できた。その日以降筆者が親しんだ領域は、専攻領域のほか多岐に亙った。文献読解の幅が広くなったのと機を同じくして、深みのある資料読解もできるようになっていった。書庫を行き交い、あらゆる資料に手を伸ばし、毎日考えを積み重ねていく「研究のための読書」が、楽しみにさえなってきた。幸い、図書館には所蔵図書が多く、途中で資料が途切れることはめったになかった。無論、同じテーマを考えていても、手にする資料や論文、それまでの蓄蓄積やキャリアによって、その人が必要とする資料は大きく異なる。願わくは、大学図書館が我々利用者の知的個性を強固に支える存在であって欲しい。情報化の流れに乗りつつも、万巻の書物は大学図書館に必要である。
Mie University Library
Mie University is blessed with a big library with advanced cataloguing
systems. Computer controlled cataloguing, information database and ready-on-touch
key information systems make the user ease to search any information regarding
course study, research references or periodicals and jobs or business.
A good collection makes the library very wealthy. However, scarcity of
text and reference books and periodicals written in English is noticed.
Important periodicals of many disciplines are lacking.
Management is of quite high standard, well organized and users-friendly.
All those sustain a healthy environment for a peaceful dissemination of
knowledge.
It is a very good library for undergraduate students of diversified disciplines.
Bangladesh Agricultural University Library
One of the biggest national university libraries and the biggest one in
agricultural discipline in the country having more than 500,000 collection
of text and reference books, besides many kinds of national and international
periodicals, irregular issues, magazines and others. It is a perfect home
of information for agricultural research. A quite good number of important
periodicals of natural and biological sciences are available, although
some are irregular. In order for better utilization of small fund periodicals
are subscribed on the basis of priority and citation. Thus, less cited
journals are dropped from the subscription list. Cataloguing is not yet
totally computer-based. Lacking of advanced one-touch database systems
for searching. Teaching aids and tools like videos, projectors, etc. are
used for study. Routine schedules are programmed for displaying advanced
research techniques and technology and conducting seminar talks among the
undergraduate and graduate students. Exhibitions of art and science are
arranged.
The library is serving as a key information pool for both undergraduate and graduate studies in agricultural disciplines but demands more skilled and polished management system.
生物資源学研究科 博士前期課程一年生 黄 偉峯
三重大学に来てそろそろ一年になりました。図書館は何度も使ってきましたが、システムは台湾の大学図書館のそれとだいたい同じです。
本を探すときは伝統の図書分類法か書名で調べます。図書分類法は世界的に共通の方法なので、使い方はだいたい分かりますが、本を見つけるまでにかなり時間がかかります。つぎに、書名で探すときは本の名前が分かれば、すぐ見つけられますけれど、分からなかったら、この方法は全然使えません。
以上の二つ方法以外、パソコンでも調べられます。先ず、論文を調べたいときはいろんなキーワードを入れれば、それと合う論文はパソコンが絞ってくれますので、かなり使いやすいです。次に本を探すときもパソコンが使えます。基本的な使い方は論文を探すときと同じで、出版社、作者、書名以外、キーワードも使えます。前の三つが判かったら、もちろんすぐ出来ます。でもキーワードを使うときはよくピンチに当たります。ほしい本の名前がモニターにいつも出て来るとは限りません。もしその機能を高めたら、私達はもっと使いやすいと思います。結局こんな理由で、図書館を使うのはいつも一番簡単な方法、図書分類法です。時間をかかることは分かっていますが、仕方ありません。
本学の図書館の本はかなり揃っていますが、留学生の私はたまに自国の本を読みたいこともあります。館内にない訳でもありませんが、探した本はかなり昔のものでした。もし、中国語の本があり、そしてキーワードで本を探す方法がもうちょっと改善されるならば、私達の図書館の利用時間がもっと増えると思います。
(Huang Weifong)
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