連載(2) Digital LIVE Contents-Infrastructure-Literacy

EJ(電子ジャーナル)とWoS(Web of Science)に関するFAQ

Q.1 EJ、WoSとは何ですか?利用可能な範囲(年や分野など)は?
A.WoSとEJは、2002年1月より全学で利用できるようになった電子情報サービスです。
 WoSは、欧文引用文献データベースで、論題やAbstractに含まれるキーワードなどから検索できます。本学では、自然科学系Science Edition(約5,700誌)の1997年以降が利用できるようになりました。
 EJは、学術雑誌の全文がパソコン上で閲覧・印刷できるサービスです。全文が読めるバックナンバー(過去の巻号)の範囲は、出版社や個々の雑誌によって異なります。電子ジャーナルのリストをご参照ください。

Q.2 WoSとEJとの関連は?
A.文献データベース(WoS)の検索結果から直接本文(EJ)にリンクできます。
 2002年1月よりWoSとEJのサービスが同時に導入され、両サービスのリンク機能によって、学術論文がより簡単に、検索(WoS)・閲覧(EJ)できるようになりました。本学の学術情報環境を飛躍的に向上させるものと期待されており、まさに「鬼(EJ)に金棒(WoS)」(富岡秀雄前附属図書館長談)です。

Q.3 どういう環境で利用できるのですか?
A.学内者であれば誰でも、24時間いつでも、学内に設置されているインターネットが利用できるパソコンからならどこからでも、EJやWoSを利用できます。
 附属図書館のHPからアクセスしてください。利用規約として、三重大学の教職員・学生であること、三重大学のキャンパスから利用することなどがあり、ご自宅のPCからはご利用になれません。

Q.4 アカウント(認証)は必要ですか?
A.大学として契約していますので、原則としてID・パスワードや事前登録は不要です。
 (1)契約外の電子ジャーナルの全文を閲覧しようとした場合、(2)"Nature"など個別出版社の電子ジャーナルを閲覧しようとした場合には認証を求められることがあります。(2)の場合は、ID・パスワードを参考調査係(内線2208 sanko@lib.mie-u.ac.jp)へお問合せください。

Q.5 利用にあたって著作権法上の注意点はありますか?
A.三重大学の構成員が大学内から個人の使用目的で利用することが大原則です。
 電子ジャーナルや文献データベースは、データの大量ダウンロード、再構成・再配布は禁じられています。出版社により公正な利用の範囲が異なる場合もあります。ご不明の点は、参考調査係へお問合せください。なお、プリントアウトしたものを教育目的で複製・配布する場合は、下記著作権法に定められた範囲で可能です。

(学校その他の教育機関における複製)第三十五条
 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

Q.6 人文社会科学系のデータベースやEJは導入しないのですか?
A.附属図書館運営委員会(電子図書館専門委員会)で検討し、効果的なものを選択・提供していく予定です。
 文献データベース(WoS)に関しては、Science部門(1997年以降)のみとなっています。WoSには"Arts & Humanities"と"Social Sciences"という人文・社会系部門もあり、これを導入することが一案として挙げられます。WoS以外でも、適当と思われる文献データベースがありましたら、ご推薦くださいますようお願いいたします。
 電子ジャーナルに関しては、2002年より導入しました大手出版社系(Academic Press, Elsevier, Springer)のサービスに人文社会科学系のものが含まれています。今後、出版社ごとの導入を検討する中で、できるだけ人文社会科学系の電子ジャーナルも増やせるよう、検討していく予定です。

Q.7 WoSで論文の被引用件数が出せると聞きましたが?
A.文献データベース(WoS)の特徴として、文献の引用関係が参照できます。
 ある特定の論文や著者が、他のどんな論文から、何回引用されたかが調べられます。詳細は検索マニュアルをご参照ください。検索方法の講習会も企画しています。
 担当:参考調査係(内線2208 sanko@lib.mie-u.ac.jp)

Q.8 WoSで雑誌のImpact Factorは調べられますか?
A.文献データベース(WoS)では、雑誌のImpact Factorは調べられません。
 雑誌のImpact Factor は、Journal Citation ReportsというCD-ROMで調べられます。本学では、医学図書館でScience Editionを所蔵しています。詳細は医学図書館へお問合せください。
 (医学図書館 内線:6396 g-tosho@doc.medic.mie-u.ac.jp)

Q.9 WoSには非英文誌や学会誌は含まれますか?
A.非英文雑誌や学会誌も含まれています。
 WoSの収録基準には、「内容やレベルといった一般的な評価基準に加えて、Impact Factor(引用影響度*)による客観的評価が高いこと」「書誌事項、引用情報、Abstractが英文であること」などが挙げられています。したがって、収録誌は英文雑誌が中心ですが、文献の本文が英語以外でも、引用影響度が高く、書誌事項などが英文で書かれている雑誌や学会誌は収録対象となります。具体的には、日本で出版された英文雑誌(例えば"Japanese Journal of Physiology")やドイツで出版された英文雑誌(例えば"Mathematische Zeitschrift")などが収録されています。

※Impact Factor:ある雑誌に掲載された論文がどれだけ引用されたかによる、雑誌の計量書誌学的分析手法による評価

Q.10 EJは大手出版社のみで、学会誌などは入っていないのですか?
A.学会誌なども電子ジャーナル化されているものが数多くあります。
 三重大学が2002年に新たに導入した電子ジャーナルは、大手出版社系(Academic Press, Elsevier Science, Springer)のものですが、この他にも学会が独自で発行している電子ジャーナルが利用できます。例えば冊子を購入しているAPS(American Physical Society)の"Physical Review"やAMS(American Mathematical Society)の"Journal of the American Mathematical Society"などは、過去数年分の電子ジャーナルが見られるようになっています。ただし、多くの学会は、それより古いバックナンバーを見るためには別途契約が必要です。電子ジャーナルアクセスサービス(http://www.lib.mie-u.ac.jp/ej/)の出版社別リストのETC(その他)でタイトルリストがご覧いただけます。また、NII(国立情報学研究所)が試験提供するOUP(Oxford University Press)の電子ジャーナルもご利用いただけます。なお、日本語の学会誌については次項をご参照ください。

Q.11 日本語のEJは提供されないのですか?
A.日本語の電子ジャーナルについては、「その他の電子ジャーナル提供サイト」にリンクしています。
 J-STAGE(科学技術振興事業団)、およびNII(国立情報学研究所)の電子図書館サービスからご覧になれます。NIIの電子図書館サービスは、平成14年4月から、大学ごとの固定料金制でサービスが提供され、三重大学内からであれば、学生・院生・教職員ならいつでも利用できますので、ぜひご利用ください(http://webfront2.nii.ac.jp/)。収録雑誌は人文・社会・自然科学の各分野にわたり、約80の学会が発行する約220誌(http://www.nii.ac.jp/service/teigaku/elslist.html)をご覧いただけます。

Q.12 EJの契約を中止した場合、それ以前の契約分は読めますか?
A.契約を中止すれば、読めなくなる可能性があります。
 冊子体の雑誌の場合、契約を中止するまでに購入したもの(バックナンバー)は手元に残りますが、電子ジャーナルの場合は、過去に購読していたもの(バックファイル)にアクセスすることができるかどうかは、出版社によって異なります。今回導入した3社の電子ジャーナルは、現時点では、その点が明確になっていないため、契約を中止するとバックファイルを読めなくなる可能性があります。この問題については、国立大学図書館協議会を通して、各関連方面に働きかけを行っているところです。

Q.13 EJを購読していれば、冊子体は中止してもいいのですか?
A.冊子体を中止することによるデメリットも考慮する必要があります。
 冊子体の購読実績を元に電子ジャーナルの料金を算出する方式を採用する出版社が主流のため、冊子体の中止は必ずしも経費の節減に直結しません。また、Q12でも触れたとおり、電子ジャーナルの購読を中止した際にバックファイルを利用できなくなる可能性もあることから、冊子体の中止には慎重に対応する必要があります。

Q.14 コンソーシアム契約とは何ですか。どんな特典がありますか?
A.複数の図書館による共同契約方式で、より有利な条件で購読することができます。
 複数の大学図書館等が共同して出版者と契約する方式で、各図書館が個別に交渉する方式に比べて、より有利な条件で電子ジャーナルを購読することが可能となっています。今回導入した3社の電子ジャーナルは、すべて国立大学附属図書館のコンソーシアム方式で契約しています。この結果、単独で契約するよりも購読料金が低額になったり、閲覧可能なバックファイル(過去の電子ジャーナル)の範囲が広くなるなどの効果がありました。

Q.15 EJのコストパフォーマンスは高いのですか?
A.より少ない投資でより多くの雑誌を読むことが可能となりました。
 本学が過去3年間に予算的制約などで中止した外国雑誌のうち約5分の1の雑誌が、より少額で導入した電子ジャーナルで復活しています。また、大学院生や学生を含めた複数の利用者が、複写料金等を必要とせず即座に文献を入手できる機会が大幅に増加するため、直接的な購入費用にとどまらず、非常に高いコストパフォーマンスを発揮することが期待できます。

Q.16 EJのレスポンス(表示速度)に問題はないですか?
A.インターネットを利用しているため、ネットワークの状態に影響されます。
 学内ネットワークに関しては、ギガビットネットワークに増強され、レスポンスの向上が図られました。外部ネットワーク(SINET)との接続に関しては、名古屋大学までの専用回線がボトルネックになりうるため、平成13年に3Mbpsから15Mbpsに増強されました。今後、電子ジャーナル等の利用が増加し、レスポンスに支障が生じる場合は、更に増強が必要となります。

Q.17 EJはILL(文献複写取寄せ)が可能ですか?
A.制限はありますが、電子ジャーナルもILLサービスの対象となります。
 出版者との契約条件によって異なりますが、一般的には、従来の文献複写サービスと同様に、三重大学で所蔵していない資料について、他大学が購読している電子ジャーナルをプリントアウトしたものを郵送等で取り寄せることが可能です。ただし、PDFファイル等の電子的フォーマットの送受信などは禁止されています。

Q.18 使い方が分からない時やトラブルが生じた時は?
A.電子ジャーナルを利用する際に困った時は、附属図書館に遠慮なくお問い合わせください。
 利用方法に関しては、参考調査係(内線2208 sanko@lib.mie-u.ac.jp)、ネットワークやシステムのトラブルに関しては、学術情報係(内線2204 gakujutsu@lib.mie-u.ac.jp)までご連絡願います。Web上のトラブル・シューティングもご活用ください。


「EJとWoSに関するFAQ」の最新版は、図書館ホームページでご覧いただけます。
http://www.lib.mie-u.ac.jp/archive/gakuto/faq/ej_wos_faq.html

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