統計学と情報科学

医学部 教授  中野 正孝


 三重大学に来て5年が経過しました。現在、私は医学部看護学科において、地域保健学、疫学、保健統計学、保健情報学などの教育・研究に携わっています。三重大学の教員になって、大変ありがたいと感じたことの1つは、本学附属図書館が近くにあるということでした。前にいた大学では、キャンパスが3つに分かれ、私がいたキャンパスは保健・医療系の図書館がありますが、本館は他のキャンパスにあります。そこで、自分の専門分野での文献や図書に不便を感じることはありませんでしたが、いざ、他の分野のことを調べようとすると、時間と交通費をかけて本館まで出向かなければならないということになります。主要な学術情報がインターネットで取得できる時代になりましたが、図書や雑誌の頁をめくりながら、イマジネーションを膨らませるのが大切であると考えています。したがって、様々な分野の本を所蔵する本館が近くにあるということは大変重要だと思っています。今後さらに、本学附属図書館の図書や雑誌を充実させていただきたいと思っています。

 ところで、情報のことに触れましたが、私の著書について、少し紹介させていただきます。地域保健学や疫学はあまり一般的ではないので、他の学部の学生にも参考になると思われる統計学と情報科学について述べます。図書館に寄贈してありますのでご覧下さい。

 統計学とは「集団の特性や状況を数字で表わし、そこに潜む規則性ないしは傾向性を明らかにする学問」であり、大別すると、記述統計学と推測統計学との2つがあります。よく統計学が難しいと言われるのは後者の方で、世に様々な本が出ています。その難しいとされる統計学を、何とか分かっていただき、使えるようになっていただくために、教科書として編纂したのが「新版看護系の統計調査入門(真興交易医書出版部)」です。これは基礎的な理論を理解していただくのを目的としています。しかし、自分の研究に何とか統計学を使いたいという人のためには「JJNブックス看護研究のための統計学入門(医学書院)」を用意しました。さらに、情報科学とともに統計ソフトの使い方を知りたいという人には「系統看護学講座基礎8情報科学(医学書院)」が参考になると思います。何と言っても、統計学が好きで、得意であるという人は多くはないでしょう。しかし、エビデンスを重要視する研究の場合、統計的記述は避けられません。自らが統計的に研究を行わないまでも、統計的にまとめられた文献を読みこなすために、「論文が読める!早わかり統計学(MEDSI):訳本」がよいと思います。参考にしていただければ幸いです。

(なかの・まさたか)
【関連図書】
※本文中で言及されている図書の所蔵状況は次のとおりです。
  • 中野正孝著『新版看護系の統計調査入門』(真興交易医書出版部)[図・展示棚 418.8/N 39]
  • 中野正孝編集『看護研究のための統計学入門(JJNブックス)』(医学書院)[医・看護図書室 492.9/Ka 54]
  • 中野正孝[ほか]『系統看護学講座基礎8 情報科学 第4版』(医学書院)[図・開架図書 492.9/Ke 28/K8]
  • ジェフリー・R・ノーマン,デビッド・L・ストレイナー著;中野正孝[ほか]訳『論文が読める!早わかり統計学:臨床研究データを理解するためのエッセンス』(医学書院エムワイダブリュー, 1999.1)[図・展示棚 490.7/N 96]


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