三重大学人文学部フォーラム in 伊賀 2004:要旨

フォーラムについて |  これまでの開催記録 |  お問い合わせ ]

2001~2004 |  2005 |  2006 |  2007 |  2008 |  2009 |  2010 |  2011 ]


第1回要旨
巨大地震の対策・阪神淡路大震災の教訓から
―三重大学災害対策プロジェクト室と附属図書館の取組―

三重大学附属図書館は地域の防災資料セン ターとして活動しており、平成16年には、同大学災害対策プロジェクト室及び三重県・津市・四日市市との共催により一般市民を対象とした「東南海・南海地 震シンポジウム」を開催しました。また巨大地震に対する認識を深め、防災意識を向上することを目的とし、識者による講演やパネル・ディスカッションも行わ れました。
会場には安政江戸地震の鯰絵や、阪神・淡路大震災の映像記録・写真パネル等の地震関連資料のほか、附属図書館が所蔵する多くの防災関係図書が展示され、好 評を博しました。上野市においては、この巡回シンポジウムの報告と災害対策プロジェクト室及び附属図書館の活動と取組を紹介したいと思っています。 
なお上記2回のシンポジウムは、文部科学省の「地域貢献特別支援事業」の一環として開催されたものです。(平成16年2月7日:津市で開催。3月20日:四日市市で開催。)


第2回要旨
生涯現役是か非か ―治世61年清朝康煕帝の偉大と苦悩―

谷井俊仁

清朝は漢人王朝ではなく、現在の中国東北 部、遼寧省から勃興した満洲人王朝です。しかし中国文化の精華は、この王朝において極まるのですから、漢人文化は辺境の少数民族によって完成させられたこ とになります。それに決定的な役割を果たしたのが、第四代皇帝康煕帝(1654~1722)です。
彼は、8歳で即位し69歳で没しました。満洲人皇帝が漢人を統治することは正当なのかどうか。彼の61年に及ぶ治世は、この難題に妥当な解決を見出してい く過程でありました。それは自らが漢人以上に漢人的な教養を身につけ、凡百の満洲人を圧倒する満洲的美点を体現することによってのみ果たすことができま す。刻苦勉励、この言葉こそが彼の生涯を形容するにふさわしいものです。皇帝とは、聖人君子たることを強いられ、苛刻な人生を生きる人のことを謂うので す。
本講演では、その61年の治世をふりかえり、生涯トップであり続けた康煕帝の偉大さとそれが故の苦悩に迫ってみたいと思います。


第3回要旨
中国経済の急成長が日本とアジアに与えた影響

櫻谷勝美

近年の中国経済の発展はめざましいものがあ りますが、それとともに中国経済に対する日本人の見方も何度か変わってきました。最初は中国製品の安さに驚き、その後中国の存在が大きくなると「中国脅威 論」が出てきましたが、しかし最近は日本製品の市場となって日本経済を下支えしている関係が着目され、中国を競争者として見るよりも、中国との共存共栄関 係をめざすべきだとの風潮が強くなっています。
中国の発展は豊富な低賃金労働者の存在と潜在的市場の大きさを利用して外国企業を誘致したからです。このフォーラムでは現在の日中関係、およびその他のア ジア諸国との関係の現状を明らかにするために、これまでの歴史をたどることにします。具体的には(1)中国が改革開放政策に転じて以来四半世紀の発展過 程、(2)その間の対日関係の変化、(3)韓国・台湾・東南アジア諸国との関係の変化を振り返り、さらに(4)現在において国内経済にどんな問題をかかえ ているのか、等の問題を検討します。